2023.03.14
京都市西京区、右京区、南区、中京区、向日市、長岡京市、亀岡市 の皆さんこんにちは。
ダクタリ動物病院京都医療センターの院長森です。
今回は、猫の肥満細胞腫の症状と原因、治療について解説させていただきます。
こんなお悩みはありませんか?
・皮膚にできものがある
・皮膚が赤くなっている
・皮膚を痒がる
・毛が抜けているところがある
・痩せてきた
このような場合「肥満細胞腫」の可能性があります。
肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)とは
肥満細胞腫と言っても、「肥満」とは関係ありません。太っていなくても、肥満細胞腫になることはあります。見た目がまんまるなことから「肥満細胞」と名前がついた細胞があり、その肥満細胞が腫瘍化したものが「肥満細胞腫」となります。肥満細胞腫とは、悪性腫瘍に分類される「ガン」です。肥満細胞腫は体のいろいろな場所に出来ますが、猫で発見されることが多いのは皮膚です。皮膚にしこりができたり、それが赤くなったり、痒がったり、出血したりすることがあります。また、リンパ節や脾臓、肝臓と言った腹部臓器にできることもあります。
肥満細胞腫が起こる原因
肥満細胞腫に限らず、「腫瘍」の起こる原因は不明です。それゆえ予防も難しいと言えます。
肥満細胞腫を適切に治療するためのポイント
肥満細胞腫を適切に治療するためのポイントは以下の3点です。
①早期に肥満細胞腫の診断ができるか
端的に言うと、猫の皮膚にできものをみつけたら悪性腫瘍を疑うべきです。その中でも肥満細胞腫の可能性を考えます。良性腫瘍の可能性は低いと考えましょう。肥満細胞腫に限らず悪性腫瘍に対しては、早期発見・早期治療が重要です。まず、猫の皮膚にしこりを見つけたら、針を刺す検査等を実施し、切除手術を検討する必要があります。「経過をみましょう」は、あまりお勧めできません。
②肥満細胞腫治療において豊富な経験を持っているか
治療の第一歩は外科手術を考える必要があります。ただ、猫の肥満細胞腫は、1個だけではなく、複数個見つかることも少なくありません。手術が必要であっても、全てを取り除くことが難しい場合があります。抗がん剤の投与を検討する場面もあります。正しい知識のもと、臨機応変に治療法を検討する必要があります。
③転移を見逃さない
皮膚にできた肥満細胞腫が、リンパ節や脾臓、肝臓など皮膚以外へ転移することがあります。皮膚だけにできるよりも、「悪い」状態になります。転移を調べるためには、超音波検査やCT検査といった画像検査に加えて、針を刺して検査する必要があります。診断・治療の経過の中で、転移の有無を評価することが重要です。
ダクタリ動物病院 京都医療センターでの肥満細胞腫の治療について
肥満細胞腫の場合重要なのは、転移の有無を含めた早期の診断です。猫の皮膚に出来物を発見した際に、「様子をみましょう」とは判断しません。発見したら、針を刺す検査もしくは切除手術の検討に入ります。切除手術をする場面では、転移の有無を調べるためにCT検査を実施することもあります。他にも脾臓などに針を刺す検査を実施することもあります。必要な検査を提示し、理解を得た上で診断を進めていきます。