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2023.03.14

犬の角膜腫瘍の症状と原因、治療について|京都市西京区のダクタリ動物病院京都医療センター

京都市西京区、右京区、南区、中京区、向日市、長岡京市、亀岡市 の皆さんこんにちは。
ダクタリ動物病院京都医療センターの院長森です。
今回は、 犬の角膜腫瘍の症状と原因、治療について解説させていただきます。

 

こんなお悩みありませんか?

・白目が赤い

・眼が開けにくい、

・涙の量が急に増えた

・眼脂(めやに)が急に出てきた

・眼を気にしている

・眼が白くなった

 

角膜潰瘍(かくまくしゅよう)とは

角膜は目の表面の上皮、実質、内皮から構成される透明性のある組織です。上皮は主に病原菌の侵入や外傷などに対するバリア機能をもち、実質は線維構造になっており透明性を維持する役割があります。

角膜潰瘍は、角膜に傷ができてしまう、すなわち角膜の組織が欠損してしまうことをいいます。傷の深さにより、表層性、深層性、デスメ膜瘤、角膜穿孔に分類されます。

原因としては外傷のことも多いですが、感染症や免疫が関係して起こることもあります。

 

角膜潰瘍の原因

角膜潰瘍の発生要因は、角膜上皮の喪失する場合と角膜の保護・再生力が低下する場合に大きく分けられます。

上皮が喪失する要因には、シャンプーが目に入った、爪で引っ掻いた、ドライヤーの熱にあたったなど外因的要因が挙げられます。また他の要因としては、瞼から逆まつげが生えていたり、瞼が内側に反り返っていたりするなどの内因的要因が挙げられます。

角膜の保護・再生力が低下する要因には、涙が出にくい状態であるドライアイや、顔面神経麻痺などによる眼表面の環境の悪化、高齢犬にしばしば認められるカルシウム変性などが挙げられます。また、眼の疾患だけでなく糖尿病などの全身性疾患なども角膜の保護・再生力を低下させる原因となります。

診断治療のポイント

フルオルセンイ染色

水溶性の黄緑色の色素で眼の表面を染色します。潰瘍部位は緑色の蛍光色となり病変部の範囲や程度を判断することに使用します。

眼圧検査

角膜潰瘍が重度の場合に角膜表面だけではなく眼の圧力にも障害し、ぶどう膜炎が生じることがあります。眼房水といわれる眼の中の水が減少することにより、眼の圧力が低下します。

シルマー涙液検査

角膜表面にある涙の量を測定することで、ドライアイの鑑別に使用します。

スリットランプ検査

フルオルセンイ染色の観察、まぶたの異常の有無、角膜潰瘍の深さなどをみるために使用します。

 

ダクタリ動物病院京都医療センターでの角膜腫瘍の治療について

角膜潰瘍が疑われる症例が来院した場合、眼の精査を行うとともに必要であれば血液検査などを行っていきます。

眼の検査としては、フルオルセンイ染色により角膜潰瘍の有無、範囲をみていきます。また、ドライアイがないかどうかみるためシルマー涙液検査、眼の内部への炎症がないかの眼圧検査などは、広範囲や深層性角膜潰瘍が疑われる場合にはおこなっていきます。

治療としては、抗菌薬の点眼薬、ヒアルロン酸ナトリウムの点眼薬、抗コラゲナーゼ薬の点眼薬、必要に応じて痛み止めの内服薬、抗菌薬の内服薬も合わせて処方します。

デスメ膜瘤や角膜穿孔が疑われる場合には、緊急的に外科手術を行うこともあります。