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2023.01.09

猫の胸水の症状と原因、治療について|京都市西京区のダクタリ動物病院京都医療センター

京都市西京区、右京区、南区、中京区、向日市、長岡京市、亀岡市 の皆さんこんにちは。ダクタリ動物病院京都医療センターの院長森です。
今回は、 猫の胸水の症状と原因、治療について解説させていただきます。

こんなお悩みはありませんか?

・息が上がる

・動きたがらない

・咳をする

・元気がない

・食欲がない

 

このような場合、胸水が貯まっている可能性があります。

 

胸水(きょうすい)とは

名前の通り、胸に水が貯まった状態です。肺に水分が貯まる肺水腫とは異なり、肺の外側に水が貯まった状態です。少量であれば無症状のこともありますが、たくさん胸水が貯まると肺が膨らみにくくなります。そして、呼吸が苦しくなり、息が上がったり動くことができなくなったりします。重度の胸水は呼吸困難を引き起こす緊急疾患です。また、胸水が貯まる背景には重篤な疾患が隠れています。

 

胸水が溜まる原因

猫ちゃんの胸水の原因は大きく分けて5つあります。

悪性腫瘍

胸部にできる悪性腫瘍が原因で胸水が貯まることがあります。レントゲン検査や超音波検査で悪性腫瘍が認められた場合や胸水を採取して細胞を見ることによって診断します。診断にはCT検査や細胞診が必要なこともあります。

心臓病

心臓病が進行すると肺血管圧が高くなり、胸水が貯まることがあります。レントゲン検査や超音波検査で心臓の大きさや心筋の厚さ、心臓の弁の逆流の有無を確認することで診断していきます。

乳び胸

乳び胸とは胸のリンパ管から何らかの原因でリンパ液が漏れることで胸水が貯まった状態を指します。リンパ液がもれる原因は心臓の病気や腫瘍など様々ですが、原因がわからない特発性乳び胸といわれるものが最も多いとされています。

膿胸

胸部に何らかの原因で細菌感染が起こる事によって胸に膿が貯まった状態です。胸水にでている細胞を顕微鏡で見たり、培養検査を行ったりすることで診断します。

FIP(猫伝染性腹膜炎)

猫コロナウイルス感染症を発症すると炎症により胸水が溜まることがあります。この場合は胸水だけでなくお腹に溜まる腹水も出ていることがあります。胸部および腹部のレントゲン検査、超音波検査、胸水や腹水中のPCR検査で診断していきます。

 

胸水を適切に治療するためのポイント

酸素化を行った上での診察

胸水が貯まっている猫は呼吸が苦しい場合が多く、検査が負担になりかねません。検査をする前に酸素のお部屋に入ってもらったり、酸素マスクを当てながら検査や処置をしたりすることで呼吸がしんどくならないようサポートしてあげることが重要です。

安全に胸水を抜去する

診断、そして呼吸状態を改善するためには胸水を抜く処置(=抜去)が必要です。胸水抜去は針を刺して行いますが針で肺や心臓を傷つけてしまうリスクがあります。

猫ちゃんが動いてしまわないように保定をしてエコーで針の場所を確認しながら慎重に抜去します。

胸水の種類に合わせて適切な検査をする

胸水がたまる原因はさまざまであり、胸水の抜去だけでははっきりとした診断がつかないことも少なくありません。胸水の種類から考えられる病気を予想し、適切な検査を行うことで正しい診断、治療を行うことができます。

 

 

ダクタリ動物病院京都医療センターでの胸水の治療について

当院では呼吸が苦しい患者様に速やかに酸素を提供できるようにICU(酸素室)、酸素発生器の設備が整っています。来院のストレスが強い猫ちゃんの負担をできる限り少なくするため、酸素化を優先して行います。応急処置で呼吸状態が安定した後、エコー検査やCT検査などで胸水の原因の精査を行い、適切な治療につなげます。