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2022.10.20

犬の僧帽弁閉鎖不全症の症状と原因、治療について|京都市西京区のダクタリ動物病院京都医療センター

京都市西京区、右京区、南区、中京区、向日市、長岡京市、亀岡市 の皆さんこんにちは。ダクタリ動物病院京都医療センターの院長森です。
今回は、 犬の僧帽弁閉鎖不全症の症状と原因、治療について解説させていただきます。

こんなお悩みはありませんか?

・咳をする

・疲れやすい

・散歩に行きたがらない

・すぐに息が上がる

・痩せてきた

 

このような場合「僧帽弁閉鎖不全症」の可能性があります。

僧帽弁閉鎖不全症(ぞうぼうべんへいさふぜんしょう)とは

ワンちゃんの心臓は人間と同じく4つの部屋に分かれています。そのうち左側の部屋、左心房と左心室の間には僧帽弁という弁が存在します。左心房から左心室に向かう血流が逆流しないように心臓の拍動に合わせて閉じたり開いたりしています。この僧帽弁が何らかの原因で完全に閉じることが出来なくなると、血液が逆流してしまいます。逆流が生じた状態を僧帽弁閉鎖不全症と言います。

逆流が生じると心臓に血液が留まって心臓が大きくなり、肺の気管や気管支を圧迫することで咳が出ます。また全身に血液が行き届きにくくなるため、疲れやすく、息が上がる原因になります。進行すると、肺に水が溜まる「肺水腫」を引き起こし呼吸困難になってしまう怖い病気です。
進行のスピードは様々であり、時には突然悪化してしまうこともあります。

僧帽弁閉鎖不全症はチワワ、ポメラニアン、マルチーズ、シー・ズー、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、トイ・プードルなどに多い病気ですが、どんな犬種でもかかる可能性があります。

僧帽弁閉鎖不全症の原因

最も多い原因は僧帽弁の「粘液腫様変性(ねんえきしゅようへんせい)」によるものです。粘液腫様変性とは加齢と共に僧帽弁が分厚くもろくなり、弁が完全に閉じなくなってしまうものです。その他に心筋症、感染症、免疫疾患、先天性疾患によっても僧帽弁閉鎖不全症は起こります。

 

僧帽弁閉鎖不全症を適切に治療するためのポイント

①正しい診断とステージ分類

治療方針を決めるにはレントゲン検査やエコー検査で僧帽弁閉鎖不全症の診断、ステージの分類をしっかりと行うことが重要です。逆流を起こしている弁の診断、左心房の大きさ、逆流の速度などを画像診断で把握し、ステージ分類(A〜D)をしていきます。

②ステージ及び症状に合わせた治療

ステージはA、B1、B2、C、Dと分類されています。ステージA、B1ではまだ治療の必要はありません。しかし僧帽弁閉鎖不全症は基本的に進行していく病気ですので定期検診で経過を追う必要があります。ステージB2以降では強心薬や利尿薬による内科治療や弁の補強などの外科手術が適応になります。

内科治療では強心薬、利尿薬など様々なお薬で心臓の働きを助けます。心臓以外にも腎臓の機能、基礎疾患の有無をしっかり把握してお薬の選択、調節を行う必要があります。

内科治療では残念ながら僧帽弁閉鎖不全症を完治させることは出来ません。進行を遅らせて症状をある程度抑えることが目標となります。外科手術をすると完治できる可能性があります。年齢、心臓および心臓以外の全身状態をしっかり考慮したうえで手術を行うかどうか相談となります。

 

ダクタリ動物病院 京都医療センターでの僧帽弁閉鎖不全症の治療について

当院ではまずレントゲン、エコーの検査をしっかりさせていただき、僧帽弁閉鎖不全症の診断、ステージ分類を行います。内科治療をしていく場合は、その子の重症度や症状に合せて様々なお薬の中から処方を決めていきます。外科治療が必要な場合は、循環器専門の二次診療施設へご紹介させていただくこともあります。僧帽弁閉鎖不全症はその子によってステージや進行のスピード、必要な治療も違います。気になる症状があればご相談ください。